八百鮮の一日のゆくえを決めるのは「仕入れ」です。
インパクトを狙うのか。利益を狙うのか。
どんな商品をいくらで仕入れるのか。
それらを瞬時に判断しなくてはいけない
「戦場」とも言える環境で、
八百鮮の社員は何を考えているのでしょうか。
他の店にもある商品を、他の店にもある値段で。 そんな商売をしていたら、街に山ほどある小売店と何の差別化もできません。 もちろん利益を生み出すことは大切ですが、 時には利益を度外視した仕入れで度肝を抜かなくてはならないのです。 ハンマーヘッドシャーク。バショウカジキ。いちご祭り。ロマネスコ。 お客様の「こんなの見たことない!」「八百鮮ってやっぱり面白い!」を、仕入れを起点に作り出します。
「同じお金を出せば、同じものを売ってもらえる」スーパーマーケットやコンビニでの常識は、 市場では通用しません。市場での仕入れは「人間力勝負」。 仲買人さんといい関係を築くことで鮮度のいいものを優先的に積み込んでもらえたり、オマケをしてもらえたり。 残酷なことに、その逆だって有り得てしまうのが市場のリアル。 はじめから市場で認められる人間はなかなかいません。 だからこそ、気持ちのいい挨拶や会話を通じて自分を売り込む必要があるのです。
とにかく、仕入れは「迷走」しやすい仕事です。 売り上げに追われて「とりあえず」で無難な商品だけを仕入れてしまったり、 「安くするから買っていってよ!」と勢いに押されて買ってしまったり。 ですが、「意味」のない仕入れで結果が出せるほど八百屋の商売は甘くありません。 「これをあの棚に並べたらあのお客さんが買ってくれるだろう」そんな「イメージ」の連続が結果につながるのです。 時には、仲買人さんのセールスを強い決意で断ることも必要です。
市場では野菜だけでなく「情報」を仕入れることが、八百屋の商売では欠かせません。 「〇〇山地でひょうが降ったから、かぼちゃはここ2~3日高騰しそうだ」 そんな仲買人さんからの情報一つとっても、「かぼちゃは置いておくと甘くなるから 安いうちに3日分仕入れておけば他の店よりも安く売れるはず」といった考察ができるはず。 仲買人さんから普段の会話で貪欲に情報を吸収することで、 他の店と差をつけた売り方ができるのです。
たとえば「最近売れ行きのいい野菜を、特売品として安く仕入れたい」と考えたとき。 ポッと出の新入りが「安く売ってください!」と頼んだところで、それに応じてくれる仲買人さんは多くありません。 自分たちの希望を通すためには、仲買人さんとの関係性が必要。余らせてしまった商品を思い切って買い取ったり、 長い間取引を続けたりと、市場での実績が求められます。市場は「持ちつ持たれつ」の関係でできている。 それを熟知した人間こそが、市場での「買い物上手」になれるのです。